ちょうどこの時期だ。高校時代、月曜の朝、あいさつで友人の肩を軽くたたく。すると「あっ痛い」とうめき声がする。日曜日にキビ刈りを手伝った影響である。キビの束を何度も担いだための筋肉痛なのだ。
畑仕事は小学生から手伝った。高校のころには友人の所を互いに助け合うこともあった。収穫作業のほとんどは手作業である。キビの枯れ葉を取り払うのは主に女性が担当。男たちは倒したキビを束ねて運び出す。家族や親せき総出で取り掛かったものだ。
沖縄の農業を支えてきた基幹作物サトウキビ。後継者や耕作地が減少し一九七二年の本土復帰当時と比べ、今では作付面積、収穫量とも約半分に落ち込んでいるという。
以前、西原町では二つの製糖工場が操業していた。キビを満載したトラックがひっきりなしに走り、工場から甘い香りが漂っていた。だが、工場は相次いで閉鎖。シンボルのあの高い煙突も姿を消した。
先日の友人らとの集まりはキビ刈り談議で花が咲いた。最近は作業も以前よりは楽になった。キビの枯れ葉は取らず、ひとまとめにするだけでいいのだとか。久しぶりに手伝いに行くと午前中で作業が終了。なんだか拍子抜けだったとは知人の談である。
昼食時、畑で輪になって食べるソーミンチャンプルーの味は格別だった。それが労働の糧になり、ユイマールを支えていたのかもしれない。
冬場の農作業風景もキビの収穫量減に比例して、だんだんと見られなくなるのかもしれない。(○○○)
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