○○県は、少子化対策の一環でワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の普及運動を積極的に推進している。関連施策の企画立案を先導しているのが、厚生労働省から出向中の○○○○少子政策課長だ。三児の父で、同省時代の二〇〇六年に三カ月間の育児休業を取得した経験も。“主夫”の体験談や県の子育て支援策などについて聞いた。
──育児休業を取得した経緯は。
「共働きの妻が二人目の子供を妊娠した際、『できるだけ早く仕事に復帰したい』と希望したこともあり、育児休業を取ることにしました。約一年前に上司に相談したところ、『そのときの仕事の状況次第』との反応でしたが、〇六年一月から県に赴任する直前の同三月末まで取得することができました」
──仕事を離れることへの不安は。
「長期休業ではなかったので『キャリアのロス』との懸念はありませんでした。むしろ、同僚への仕事のしわ寄せを心配しました」
──休業中を振り返ると。
「“専業主夫”として、育児だけでなく、料理や掃除、洗濯といった家事も全面的に担当したので、あの期間は『育児・家事休業』でしたね。育児は楽しく、もともと家事も好きなのですが、自由な時間はほとんどありませんでした。日中は孤独でもあり、専業主婦の孤立感がよく分かりました」
──休業の経験は仕事に役立っていますか。
「子育て中の親は、幼稚園や公園をはじめ、地域の情報をいろいろ知りたいものです。当時、市町村が子育て関連情報を一元的に提供できることが望ましいと感じていました。こうした思いから、県が市町村職員を『子育てマネジャー』として養成し、各自治体で情報提供や相談業務などを行ってもらうという取り組みを考案しました」
──県はワーク・ライフ・バランスの普及のため企業への働き掛けを強化していますね。
「少子化対策では、従業員の“働き方”を改善する必要があります。そこで、〇七年度からは、県内の企業や団体を対象に、少子化問題や社会保障制度などを専門とする民間研究機関の研究員を、アドバイザーとして派遣する取り組みを始めました。アドバイザーが個々の企業に入り込み、経営者や人事担当者にワーク・ライフ・バランスの意義を解説する施策ですが、企業にとっても優秀な人材の確保につながるはずです」
──子育て支援の機運を高めるためには何が必要ですか。
「施策としては、乳児期の子供を持つ親への支援充実や、待機児童の解消なども必要ですが、市民一人ひとりが子育て中の親を応援する社会づくりは不可欠です。労働環境の方も、子供が熱を出した同僚が早く帰宅できるよう周囲が配慮するなど、改善していかなくてはなりません」
──働く男性の意識改革も大切ですね。
「今は夫婦が協力して育児を行う時代だと思います。奥さんが専業主婦の場合でも、男性には家事や育児に協力してほしい。子育ての大変さを理解し、奥さんへの感謝を再認識するための良い機会になるはずですよ」
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