論文番号 : 201311263
標題 : 症例報告 カリジノゲナーゼによる線状扁平苔癬型薬疹の1例 【対訳標題】A case of linear lichenoid drug eruption due to kallidinogenase
著者名 : 山川千尋, 小林憲, 二宮淳也, 石崎純子, 田中勝 (東京女子医科大学東医療センター皮膚科), 藤林真理子 (東京女子医科大学東医療センター病院病理科)
資料名 : 臨床皮膚科
資料コード : R07
巻号ページ (発行年月日): Vol.67, No.11, Page.853-857 (2013.10)
出典 : 参照文献12
抄録 : 【概要】カリジノゲナーゼによって発症したと考えられた線状扁平苔癬(LLP)型薬疹の1例を報告した。
【症例】60歳,男性。2型糖尿病,糖尿病性網膜症と緑内障の既往あり。初診10年前より2型糖尿病にてインスリン治療中であった。1年前より糖尿病性網膜症の急激な進行を認めカリジノゲナーゼ(カルナクリン)内服を開始。内服開始後6カ月で皮疹を自覚し,数週間後に著者科を初診した。ダーモスコピー所見では,淡い紅色を帯びた白色で,線状,霜状にみえるWickham線条を認めた。青灰色の色素小点・小球を取り囲むように褐色の色素沈着がみられた。右下腿の皮疹より皮膚生検を施行。病理組織学的に過角化,顆粒層の肥厚,表皮の鋸歯状肥厚と基底層の液状変性,真皮浅層にリンパ球主体の炎症細胞が浸潤していた。真皮内には好酸球とメラノファージを認めた。貼布試験では金属アレルゲン21種類に加え,被擬薬と考えたカリジノゲナーゼ(濃度5%,10%,20%の3種類)を腰部の皮疹部と背部の無疹部で貼布試験を行った。金属アレルゲンはコバルトのみ陽性で,カリジノゲナーゼは皮疹部,無疹部ともにすべての濃度で陰性であった。リンパ球幼若化試験ではカリジノゲナーゼでS.I.値98%で陰性であった。初診2週間後の再診時より被擬薬であるカリジノゲナーゼの内服を中止し,ジフロラゾン酢酸エステル(ジフラール)軟膏外用を開始した。治療開始2週間後には皮疹は平坦化し,そう痒の改善がみられたためジフロラゾン酢酸エステル軟膏外用を中止した。治療開始1カ月で色素沈着を残し,皮疹は消退した。治療開始4カ月後にはさらに色素沈着が淡くなり皮疹は消失,ダーモスコビー所見ではWickham線条が消失した。現在まで皮疹の再燃はない。カリジノゲナーゼ内服中止後に皮疹が速やかに消退した臨床経過と病理組織所見より,カリジノゲナーゼによるLLP型薬疹と診断した。
【結論】カリジノゲナーゼは古くから使用されている薬剤であるが,近年,糖尿病性網膜症に有効で眼科領域での使用頻度が上昇している。同剤の長期投与によりLLP型薬疹の報告が増加する可能性が予想されるため,診断にあたっては薬剤内服歴を含めた詳細な臨床経過の聴取や検査結果の検討が必要である。(第846回日本皮膚科学会東京地方会)
器官別副作用: 皮膚付属器官障害(4.1.0)
医薬品記載名: Carnaculin
医薬品一般名: kallidinogenase
会社名 : 三和化学 (S003)
薬効分類 : その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む) (249)
医薬品記載名: Diflal
医薬品一般名: diflorasone
会社名 : アステラス (F002)
薬効分類 : 鎮痛,鎮痒,収斂,消炎剤, 副腎皮質ホルモン剤 (264)
医薬品記載名: insulin
薬効分類 : その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む) (249)
副作用名 : 苔癬様皮膚炎(0578)
疾病分類 : インスリン非依存型糖尿病(250), 糖尿病性網膜症(250)
剤形 : 軟膏剤
投与経路 : 経口投与, 皮膚投与
対象 : 臨床, 症例報告, human, ヒト
疾病分類 : 他のキーワード: 抄録, ADVERSE, 副作用, 安全性, 用法・用量, 長期投与
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