国内で年間約2兆700億円の市場規模を持つ「キャラクター商品」だが、この業界に大きな異変が起きている。
業界の王様としてキャラクター人気のトップに君臨していたディズニーの「ミッキーマウス」を、同じくディズニーに所属する「くまのプーさん」が蹴落としトップに上り詰めたのだ。
2002年に「キャラクター・データバンク」が実施した、赤ちゃんから30代までを対象とした購入キャラクター商品の調査では、
1位 : くまのプーさん
2位 : ハローキティ
3位 : ミッキーマウス
4位 : ポケットモンスター
5位 : それいけ!アンパンマン
と、プーさんが他の強豪を押さえ首位となっている。
全国のディズニーストアによる売上でも、くまのプーさんがダントツの首位。さらにライセンス別のキャラクター商品のシェア率でも、ミッキーの45%に対し、プーさんは48%と上まわった。
英国の絵本が原作であるプーさん人気が、本家ディズニー出身のミッキーを上回る理由とは何か?プーさん人気について、新聞・雑誌記事横断検索 を利用して調べてみた。
●人気の原因は「のんびりさ」
新聞・雑誌記事横断検索 で、「くまのプーさん AND ミッキーマウス AND 人気 AND (トップ OR 1位)」をキーワードとして検索すると、プーさん人気についての記事がみつかった。
記事によると、プーさん人気は1999年頃からじわじわと上がり、グッズの売上高は数年間で5倍に増えたという。
こうした人気の変化を受けグッズ売り場によっては、プーさんグッズを店に入ってすぐの棚と左右の棚に山積として、一目ではミッキーが見つからないまでのディスプレイをする店も出た。
ディズニーによるキャラクターイメージのアンケートにも面白い結果が出ている。
プーさんとミッキーのイメージを比べたものだが、下のような対照的な結果となったのだ。
◆ プーさんのイメージ
・ ホッとした気持ちにしてくれそう
・ 優しそうな感じ
◆ ミッキーのイメージ
・ 身近にいると元気になりそう
・ 元気つけてくれそう
最近のストレスを受けやすい社会にあって、ミッキーに「頑張ろう!」と言われるより、プーさんと一緒にのらりくらりとやり過ごしたいという思いがあるのだろう。
そうした願望が上のアンケートとグッズの売上から伺えるようで面白い。
また、キャラクター・データバンクの調べでは、プーさんは普段の買い物で買われるが、東京ディズニーリゾートではミッキーをお土産として買う人が多いという。
ディズニーの「イメージ」として定着させられたミッキーと、実際の「癒し」を与えるプーさんの立場の違いが、今の時代を反映し、売上に影響したとも考えられる。
●アメリカでもプーさん人気
このプーさん人気は日本だけに留まらず、本場アメリカでも同じ現象が見られる。アメリカでは1998年にプーさんのグッズの売上額がはじめてミッキーを抜いた。
プーさんに「癒し」を求めているのは日本人だけではないらしく、世界的にストレスを抱えた時代に入ったようだ。
※次回更新日は、4月8日(木)の予定です。
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