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良くも悪くもアメリカの影響力の大きさを感じます
金融不安はどこまで!?影響広がる「サブプライムローン問題」
2008年9月18日 (text by な)

2008年9月15日、アメリカの証券会社4位リーマン・ブラザーズが経営破綻した。
負債総額は6130億ドル、日本円にして約64兆3600億円とアメリカ史上最大の規模である。

また同日に、同証券3位のメリルリンチを金融大手のバンク・オブ・アメリカが買収すると発表、さらに保険最大手のAIGも増資交渉が難航し株価が急落するなど、アメリカの金融不安が一気に露呈した。

これらに共通して関係する要因の1つが「サブプライムローン問題」である。
昨年からよく耳にするようになったこの言葉。
アメリカだけでなく、世界をも巻き込む金融不安を起こしたこの問題をG-Searchの「新聞・雑誌記事横断検索」で調べてみた。

いまさら聞けない「サブプライムローン」

今では当たり前のようにテレビや新聞で使われる「サブプライムローン」という言葉。
そもそも「サブプライムローン」とはどんなものなのか。

アメリカでは、住宅ローンを実施する場合、債務者の信用力を数値化した個人の信用格付け専門会社であるFICO信用点数が用いられる。

十分な信用力を有している債務者に対してはプライムローン、所定の基準を満たさない債務者に対する貸付を行う場合の総称をサブプライム(sub + prime = 信用力の低い)ローンと呼ぶ。

一般的な特徴としては貸付利率が通常の場合に比べて高いことである。
通常よりも返済の遅延・不能となるリスクが高いため、債務者が所有する不動産の価値がより重要視される。

「サブプライムローン問題」が起きた背景

アメリカでは初期の住宅ローン返済の負担を軽減するプランが普及していたため、債務者は自分の返済能力以上のローンを組むことが容易になっていた。

自分の返済能力を超えていることに加え、一般的な住宅ローン以上に返済不能となるリスクが高い「サブプライムローン」は、返済が破綻することが早期に表面化されそうではある。

しかし、住宅価格が値上がりを続けていた時期と重なり、すぐには表面化されなかったことがこの問題の根を深くしてしまった要因とも言える。

債務者が返済に行き詰まる状況であっても、住宅価格が値上がったことによる担保でさらなる借入を受けることが可能であったからである。

破綻が表面化されないことでさらなる住宅ローン債務者が増加し、住宅ブームを加速させた。このことが破綻の表面化を遅らせ、悪循環を生むことになってしまったのである。

「サブプライムローン問題」が混乱を招いた要因

さらに、「サブプライムローン問題」が混乱を招いている要因の1つに、債権の証券化が上げられる。

アメリカでは約10兆ドルある住宅ローンのうち、約6割が証券化されている。
証券化して投資家に売ることで、貸し手側のリスクは無くなる。

さらに、証券化された住宅ローンは、他のローン債権などと組み合わせてCDOという債務担保証券という形に再証券化される。
これにより、もともと信用力が乏しいはずの「サブプライムローン」が、CDOという別の形になることで、いつの間にか高い格付けの証券化商品に変身してしまったのである。

住宅価格が下がり、「サブプライムローン問題」が表面化。結果、経営破綻したリーマン・ブラザーズだけで140億ドルを越す損失を被ることになる。

リスク分散されたはずなのに銀行までもが危機に面しているのはなぜ?

先に述べたとおり、「サブプライムローン」の債権は証券化され、投資家に販売されている。本来であればリスクが分散され、銀行などの貸し手側はノンリスクになるはずである。

では、なぜ銀行が危機に面しているのか。

新聞記事によると、約3兆ドル発行されているCDOのうち、銀行傘下の投資運用会社分も含めて40%余りを銀行が保有している(国際機関推計)。

リスクを分散したはずのCDOを利回りが良いという理由から大量に保有していたのである。

世界に広がる影響

また、CDOは世界の投資ファンドや銀行傘下の投資会社に買われた。投資会社は、それを担保にコマーシャルペーパー(CP)を発行し、資金調達をしていた。

欧州の銀行に「サブプライムローン問題」が飛び火したのは、これらの投資会社がCPを発行できなくなった際の資金を保証していたためである。

このように、債権の証券化・細分化を通じて、お金の流れがアメリカの金融機関から世界の投資ファンド、さらに世界の銀行に拡散し、どこまで広がっているのか誰にも分からなくなってしまった。

これこそが「サブプライムローン問題」の根本であり、損失額が未知数であることが、金融不安を加速させてしまっている。

先日、アメリカ連邦準備制度理事会が保険最大手のAIGに約9兆円の公的資金の投入を発表した。株価が暴落し、アメリカの住宅市場の崩壊による経済への影響は、今後も広がっていくのかもしれない。

用語解説(新聞からの抜粋)

◇リーマン・ブラザーズ
1850年にリーマン3兄弟が創業。経営危機に陥った1984年にアメリカン・エキスプレスに身売りし、その後、社名が何度も変更され、93年に現在の社名に戻った。米証券4位で、本社はニューヨーク。東京、ロンドンなど二十数カ国で展開し、従業員数は約2万5000人。08年6〜8月期決算は、サブプライム問題に伴う評価損など78億ドル(約8400億円)を計上し、2四半期連続の赤字になった。

◇メリルリンチ
1914年創業で、米証券業界第3位。本社はニューヨーク。従業員数は約6万人。サブプライムローン問題関連などで、08年4〜6月期までに、計419億5000万ドル(約4兆4470億円)の損失を計上し、経営不振に陥った。98年に自主廃業した旧山一証券の社員、店舗を引き継いで日本市場に本格参入したが、業績が伸び悩み、日本での個人向け分野からは事実上撤退した。

◇バンク・オブ・アメリカ
1784年創業。地方銀行との合併を繰り返して拡大し、全米に6100超の支店を展開し、個人向け取引網では全米最大級の規模を持つ。従業員約21万人。本社は米ノースカロライナ州シャーロット。今年7月には経営難に陥っていた住宅金融大手カントリーワイド・フィナンシャルの買収を完了した。08年4〜6月期決算の純利益は前年同期比40.8%減の34億1000万ドル。

◇AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)
1919年創業。本社・ニューヨーク。130以上の国・地域に進出し、従業員は約11万人。保険業務のほか、デリバティブ(金融派生商品)取引や金融商品の保証などを幅広く展開してきたが、金融市場の混乱に直撃され、巨額の損失を計上した。日本では、生命保険3社(アリコジャパン、AIGスター、AIGエジソン)と損害保険2社(アメリカンホーム、AIU)を運営し、富士火災とジェイアイ傷害火災の最大株主。破綻した旧千代田生命保険など国内生保の積極的な買収を進めるとともに、格安の保険料を売り物に業績を伸ばし、生保3社の保険料等収入は国内大手4社に次ぐ規模。

◇不動産証券化
オフィスビルや賃貸マンションなどの不動産を元手に証券を発行し、小口の資金を集める手法のこと。投資家は賃料収入などから配当を受け取る。不動産の元の所有者にはリスク分散になり、投資家にとっても買いやすい金融商品であるため、不動産市場の活性化に役立つとされる。少数・特定の投資家が出資する私募ファンド、不特定多数が出資する不動産投資信託(リート)などがある。リートの投資口は証券取引所に上場され、株式と同じように売買される。

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