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コージーミステリをご存知ですか?
息抜きするならこんな本はいかが?〜コージーミステリのススメ(前編)(後編
2008年9月2日 (text by ゆ)

電車で近くに立っている人が本を読んでいる、というシチュエーション。
何を読んでいるのかが気になって、ついつい必死で横目で覗いてしまう方、結構多いんじゃないでしょうか。

本を読む人って、他の人の読む本が気になりますよね。

だから、皆さん、「どんな本読んでるんですか?」という質問、したりされたりしていることと思います。

でも私事で恐縮ですが、この質問に答えるの、筆者はとても苦手です。何故って「知ってる!あれって面白いよね!」みたいに盛り上がったことがほとんどないから。

「えーとね、"コージー・ミステリ"というジャンルで(作家名を挙げても無駄だとハナから諦めている)、翻訳モノなんだけど…………」

というわけで、今回の増刊号では、あまりメジャーではない(ような気がする)コージー・ミステリの魅力を、新聞・雑誌記事横断検索も利用しつつ、少しでもお伝えしたいと思います。

コージー・ミステリとは

「コージー・ミステリ」とは、"ミステリ"という単語からわかるとおり、推理小説のひとつのジャンルです。別名は「ドメスティック・ミステリ」とも「ユーモア・ミステリ」とも言われています。

「コージー(Cozy)」は、おそらく大多数の方が連想する「コージー・コーナー」の"コージー"です(深夜番組の"コージー"とは違います)。意味は"居心地のいい"。つまりコージー・ミステリとは、"身の回りが舞台で、居心地がよく、おかしな推理小説"というわけです。

内容としては、主に女性作家による、主婦や女性ワーカーなど、女性向けに書かれた、気軽に読めるライトな感じ(この辺がメジャーになれない一因だと思いますが)のもの。

日本にはあまり根付いておらず、赤川次郎、若竹七海、近藤文恵などの一部の作品が該当するかなといったところ。発祥の地はイギリスですが(一説によると嚆矢はクリスティのミス・マープル)翻訳されているものはアメリカの作家のシリーズものが多いようです。

では、コージーの魅力をお伝えするとともに、それがよくわかる筆者オススメのシリーズをご紹介しましょう。

コージー・ミステリの魅力その1「日常性」

コージーにおいて最も大事なものは"日常"です。

ご近所や仕事関係の場所で事件が起き、関係者として巻き込まれた主人公は、平和な生活を守るために素人探偵となって犯人を見つけ出そうとします。

でもコージーの主人公たちは生活者です。

事件の状況にかかわらず仕事は休めないし、夕食の献立も考えなければいけないし、家もそうそう汚くはしていられないし、子供やペット(がいれば)の世話もしなくてはならないし、友情は大事だし、(独身なら)恋愛も気になるし。

現実の私たちも(殺人事件はおきないまでも)往々にして「しまった!●●に夢中になってたらもうこんな時間!●●しなきゃ!」ということになりますよね?
この感じがとても共感できるんです。

コージーの魅力の1つであるこの"日常性"。これが最もよくわかるシリーズはこちら。

■ジェーン・ジェフリィシリーズ(ジル・チャーチル)

 探偵役:ジェーン・ジェフリィ(30代後半)
 職業:専業主婦(3人の子供・未亡人)
 舞台:アメリカの田舎町

主人公は一年前ご主人を事故で亡くし、高校生を筆頭に3人の子供を持つ専業主婦、ジェーン。思春期を迎える子供たちに手を焼いたり、第1作で出会った年下の刑事との恋愛にもやきもきしたりしつつ、抑えきれない好奇心から毎回事件に立ち向かっていきます。

シリーズと共に成長していく子どもたちや、微妙に進展していく恋人との関係も見所ではあるのですが、一番の魅力は親友のシェリィとのやり取り。おばちゃんと呼ばれるくらいの歳の女性同士の遠慮のない軽口(ときには思いやりにあふれた友情)は自然で、お互い様な感じがとてもいいのです。

余談ながら、舞台を日本に移してTBS系で「ご近所探偵五月野さつき」として2時間ドラマ化(シリーズ化)もされていますが……まあ、映像化すると原作とは全く別物になってしまうのは、お約束のパターンなので……あまり気にしないほうがいい、みたいです。

オススメ作品:(東京創元社)
 「死の拙文」「クラスの動物園」「忘れじの包丁



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