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晴れ着から普段着へ
きもの復活の兆し?「和装ブーム」をデータベースでさかのぼる
2007年9月28日 (text by さ)

近年、夏に浴衣姿を見かけることが多くなった。女性だけでなく、男性の和装姿もちらほら見られるようになった。
TVCMや雑誌・車内広告などで、着付け教室の宣伝を見かけることも多い。また、近頃では、大正時代から抜け出したようなアンティークの着物が若い女性に人気だという。

若い世代には敬遠されがちだった和装の世界が、今注目を集めている。ここに至るまでに、消費者と業界の間でどのような変遷があったのか。
G-Searchの新聞・雑誌記事横断検索を使って、きものと日本人の関係をさかのぼってみた。

売り手と着手の接点は

(着物 OR 和服) AND 若い女性 AND (人気 OR ブーム) で検索をしてみる。すると、1035の記事がヒットした。

最も古い記事は、23年前の1984年の記事だった。着物の消費が伸び悩み、委託販売・固定客中心の販売や、展示会費の商品への上乗せなど、和装業界の問題が指摘されている。
業界不振を受けて、そこから客層を広げようという努力が始まった。1988年には、“高嶺の花”であった着物をもっと気軽にきてもらおうと、合繊化・低価格化の動きが広がっていく。

一方、消費者側の動きを報じる記事では、1990年に、成人式の貸衣装に人気が集まるという記事が見つかった。
そして、若い世代を意識した浴衣が販売され始めたのもこのころである。広告にアイドルタレントを起用し、コシノジュンコ、トリイユキらDCブランドの“ニューゆかた”が発売されると、十代から二十代前半の女性の間でヒットした。
翌1991年には、男性向けの浴衣も人気が出始めた。バッグ、かんざしなども和装小物にも人気が集まるようになった。
若い世代の浴衣人気は、この頃から毎年続いていくことになる。
1995年には、浴衣をサマードレスのような洋服感覚で着こなす傾向が見られ、夏のおしゃれ着として定着した感がある。

1997年には、若者の間で下駄がブームとの記事もあった。ゴム底・鼻緒ズレ防止などの、履きやすさを追求した下駄が、男女問わず若い世代の間で流行ったという。普段の洋装に下駄を合せたり、浴衣にサンダルやピアスといった和洋折衷の装いが見られた。この頃、下駄はパリコレなどにも登場し、目新しさが受けたのでは、といわれている。
若者向けのブランド着物も目新しさを売りに売上を伸ばした。洋服ブランド「コムサデモード」の和装版「こむさでもーど」が、団塊ジュニアの男性をターゲットに着物を売り出し、ニット帽やスニーカーと組み合わせた新しい着こなしを提案した。東レが「冬のゆかた」としてポリエステルの着物を売り出したのもこの頃である。

1998年には、洋装の流行を反映した、キャミソール風、ミニ風、シースルーなどの変り浴衣が登場した。和風ポンチョや作務衣もファッションの一環として取り入れられるようになってきた。

2000年、京都の呉服店の倒産が相次ぐ中、大手百貨店の伊勢丹は、その年一年間の傾向を決めるという新春の一階のフロア中心に、着物を採択した。
同年秋、結婚式のサービスにも和風の波が押し寄せ、和装式の各種サービスが充実した。
成人式の市場はレンタル着物に攫われ、それまでの支えであった高齢者が買い控えるようになり、一時は年間一兆円と言われた和装市場は減少傾向が続いており、新規に若者を開拓しようという動きが強まっていった。

着物復活の兆し?

同年3月、記事データベース上に初めて「リサイクル着物」の文字が登場する。
東京のリサイクル着物店では、若い女性が真剣に選んで買い求める姿が見られるようになった。店員にヘアメークのアドバイスを求める人もいるという。給料の範囲内で買えてすぐに着られるというのが人気の理由で、お出かけや、お茶・お花、冠婚葬祭用にと買っていく人が増えたという。
同年12月、着物販売のやまとがリバーシブルの着物を発売している。

2004年の和装関連の売上高は前年比20%の伸びを見せた。すっかり定番となった浴衣以外にも、着物柄のTシャツやバッグ、傘などの小物の人気も高いという。
京友禅の老舗の千總は、伝統柄に染めたジーンズの受注を始めた。京友禅の生産量は、ピークである1971年の二十分の一にまで落ち込んでいたが、2004年には前年比6.6%増と、下げ止まりの傾向を見せた。

2005年ごろからは、夏の浴衣を着物風に着こなすのが流行りはじめた。また、アンティーク着物にブーツやブローチ、コサージュなどを加え、自分流に自由にアレンジして楽しむようになった。
人気モデルの押切もえが、「新しい着方を提案したい」とデザインした着物が話題を集め、和服の「ハローキティ」が登場したのもこの年である。

伝統とニーズの歩み寄り

呉服店の倒産が落ち着いたと言われる2005年度、売上はピーク時の2割にまで落ち込んだ。
催事経費の上乗せや、長期ローンを組ませるといったかつての販売手法を見直し、消費者のニーズにより歩み寄ろうという傾向が強まった。
経済的に余裕のある三十代の女性をターゲットに、あえて伝統柄を外し、水玉模様などの洋服柄を取り入れた着物が登場しはじめた。

最近では、普段着感覚で着られる十万円台の着物が売れ筋だという。浴衣から入った消費者が、秋以降も着られるような手軽な着物が受け入れられている。平面的な着物メイクも、普段の洋服のメイクへと移っていく。「晴れ着を着る」から、「普段着の選択肢のひとつ」という意識の変化が表れている。

伝統や規則を重んじる年配の方々が眉をひそめるような「自己流」の着こなしも徐々に広まってきている。
もちろん、冠婚葬祭やお呼ばれなど、相手のある席では、ルールに則った装いをしなければならない。相手や周囲に不快感を与えかねないからだ。だが、普段着としてワードローブに取り入れるレベルであれば、ある程度は自由に、楽に着てもいいのではないか。そうでないと続けられないし、続かなければ定着はしない。着物通の方々には、あまり目くじらを立てずに、あたたかく見守ってほしい(ときには先輩としてアドバイスもしてほしい)ものである。

今回、検索した記事を読み返して、業界と消費者がおよそ二十年かけて手探りで歩み寄ってきたような感じを受けた。
和装市場は現在5000億円と言われ、十年前の約半分ほどになっている。
今から十年後、二十年後、着物は日本社会にどのくらい定着しているだろうか。
また、これからもっと着やすい、着心地のいい、着てみたいデザインの着物が市場に増えてくるのではないか。楽しみにしている。

※記事の検索結果は2007年9月25日時点のものです。 データベースによって記事の収録期間が異なるため、検索結果と実際の紙面上の掲載状況が異なる場合があります

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