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学級閉鎖も次々と
先進国では日本だけ? 実は危険な伝染病「はしか」に迫る!
2007年5月24日 (text by ゆ)

はしか

ここ最近、連日ニュースを騒がせている、大学生を中心とした今一番のハヤリものといえば何? ……答えは、続々と発表されるケータイ電話の新機種でも、あのドラマやあの映画でもなく、「はしか」である。

「はしか」と言えば、「みずぼうそう」や「おたふくかぜ」と並んで、よく聞く感じの、なんとなく知っている気がする病ではないだろうか。筆者の周りでも「子どものころかかったことがある」という人、「あのときの予防注射って確かはしかだったと思うんだよなー」という人様々である。

かく言う筆者も後者”予防注射したと思うんだよなー”の一員であり、「はしか」に対しては”熱が出て、身体にぼつぼつ(湿疹)が出る風邪のひどいもの”というイメージしかもっていない。

というわけで、今回は、今、若者を中心に猛威を振るっている「はしか」について、新聞・雑誌記事横断検索で調べてみた。

はしかとは

「はしか」は漢字で書くと「麻疹」(読みは本来「ましん」)。
麻疹ウイルスによる感染症で、潜伏期間は10日前後、発症するとまず咳や40度近い高熱が出る。そして口の中や顔から湿疹が出始め、全身に広がる。高熱と顔や口の中にもできる湿疹のために水分の摂取も難しくなって体力を急激に消耗してしまう。重症になると肺炎や中耳炎を併発することがあり、ごくまれだが脳炎を起こすこともあり得るという。

また、もうひとつの特徴として、その感染力の高さが挙げられる。
感染源となるのはくしゃみや咳。目に見えない飛沫がかかることでダイレクトに感染する”飛沫感染”もさることながら、その飛沫が蒸発して更に細かくなって空気中を漂って感染する(空気感染)ことで、一気に感染力が高まる。

そのため、洋の東西を問わず昔から大流行する伝染病として知られており、江戸時代には「疱瘡(ほうそう=天然痘)は見目(みめ)(見た目)定め、麻疹(はしか)は命定め」と言われるほど身近で、同時に恐れられていたらしい。

首都圏を中心に全国で多くの学校や大学が休校という処置をとっているのも、この感染力の高さを警戒したためのものだ。

はしか大国日本?

はしかの流行のピークは4月から6月まで。
先進国の中では日本は罹患数が多く、実は毎年10〜20万人が感染しており、肺炎や脳炎が悪化して亡くなる方も数十人という規模でいるのだという。

前述したように、はしかと言えば「かかった」「予防注射したはず」等なんとなくなじみのある病なのに、何故それほど日本人はかかりやすいのだろうか。

新聞・雑誌記事横断検索で更に記事を調べてみると、はしかの予防接種は、実は年代によっていろいろ状況が異なっていたことがわかった。

はしかの予防接種が義務化されていたのは1978年から1993年まで(1994年からは”集団的予防から個人での予防へ”という理由で義務から推奨に変更されている)。

このうち、1989年からの約4年間、推奨されていた”新三種混合ワクチン(はしか・おたふくかぜ・風疹の混合ワクチン)”の副反応(接種したワクチン(このときはおたふくかぜ)がかえってひどい症状を発生させること)が問題視され、接種を控えた人も多かったらしい。
これが今年の大学生を中心としたはしかの大流行の原因だとする意見も多々ある。

ちなみに、はしかは一回かかると抗体ができ、その抗体はほぼ一生残る。抗体があるとはしかに感染しても症状は軽く済む。

現在30代以上の人は、予防接種が義務化される前に生まれたため、程度の差はあっても逆にはしかにかかったことがある人が多く、抗体を持っている人が多いということだ。

はしか輸出国NIPPON

一時は義務化され、その後も各自治自体で推奨されているのに、何故日本でははしかの罹患数が減らないのか。実は、はしかの予防接種は1回では効力が消えてしまう可能性が高いのだ。

はしかの予防接種は、生体ウイルスを弱体化させたものを用いる。これで抗体はできるが、一度接種しただけだと年々抗体の働きが鈍っていき、10年くらいで消えてしまうことがほとんどなのだという。

このため、はしかの予防接種は、現在、2回することが進められている。1歳の誕生日から一年以内に一回目を、小学校入学前の1年間に2回目を受けるよう2006年4月に改制されたのだ(それまでの制度では1歳〜7歳半までに1回受ければ良かった)。

ただ、各自治体の熱心な呼びかけにも関わらず、1回目の予防接種が約8割、2回目では3割に留まる地域も多いという。

なお、アメリカや韓国では二回の接種が義務化されており、二回接種しないと小学校入学を認めないなどの徹底した予防対策が進められている。そのアメリカでは、”日本は旅行者がはしかのウイルスを持ち込む「はしか輸出国」だ”と言われてしまっているらしい。アメリカでは一年に数十人しか罹患者が出ないらしいので、これだけ大流行している日本を振り返ると、そう揶揄されてしまうのも仕方がないという気がしてくる。

それにしても……「はしか」というとよく知っている感じがするのだが、40度近い高熱が続き(!)体中に出る湿疹(しかも、その湿疹が融合して大きくなり、最終的にそのままはがれるとか)、意外に高い死亡率など、実は非常にリスクの高い伝染病なのだ。

今回調べてみて、日本では数年毎に大流行していること、予防接種は一回では効果切れが起きることも初めてわかった。子どもの接種率を上げるためにも、今回の大流行をきっかけに、はしかについての啓蒙をもっと多くの年代に広げるべきとも感じた。

なお、一歳児および就学前児童の予防接種は自治体負担で行われるが、これ以外は自己負担となり、数千円から一万円かかる(医療保険は適用されないようだ)。また、別途費用はかかりそうだが、自分に抗体があるかどうか調べることもできる。気になる方は一度調べてみてはいかがだろうか。

関連情報サイト
関連記事情報(for G-Searchデータベース)
2007.03.05 東京朝刊 13頁 家庭面 写図有 (全1,782字)
1989.10.26 東京朝刊 3頁 3面 (全482字)
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