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忘れがちなペットの防災対策
防災準備は万全!一点を除いて・・・愛犬・愛猫の防災対策
2007年3月1日 (text by さ)

災害対策

84頭
ねこ179頭
ハムスター2頭
プレーリードッグ1頭
うさぎ1頭
新潟県中越大震災に関する情報「被災動物の支援活動について」より(2007年1月時点)

上の表は、新潟県中越大震災で被災した動物のうち、飼い主がやむを得ず一時的に手放すなどの理由で動物保護管理センターに保護された頭数である。

昨今、大地震などの災害への意識は高まっている。ペットを飼っている人の中には、避難用のキャリーケースや食糧などを併せて準備している人も多いだろう。
しかし、それだけでは十分とは言えない。外出先で被災し、ペットと離ればなれになる場合や、避難所からペットの飼育を拒否されるケースも実際に起こり得る。

今回は、「被災犬」「被災猫」をとりまく状況についての新聞記事を拾ってみた。

震災直後の混乱の中で

新聞・雑誌記事横断検索で、以下の条件で検索をしてみる。

((防災 or 避難 or 被災) and (ペット or 愛犬 or 愛猫)) not (ペットボトル or カーペット or トランペット or 救助犬)

1985年以降を対称にすると、3180件の記事がヒットした。少し多いので、阪神・淡路大震災が発生した1995年以降の記事に絞ったが、それでも180件しか減らなかった。記事のほとんどが1995年以降に書かれたものだということを示している。※件数は2007年3月1日時点

古い順に見出しを表示させると、阪神・淡路大震災直後の1995年には、ペットフードの支援や犬猫の一時預かり、迷子の保護、義援金などのボランティア活動の記事が目立つ。1995年3月には猫13匹を福岡まで空輸し里親のもとへ届けたというニュースもあった。
また、仮設住宅や県営住宅でのペット飼育を認めてほしいとの投書や、迷い犬が野生化するなど、災害直後の問題・課題が浮き彫りになった。

災害対策への意識の高まり

一方、新しい順に記事を表示させると、災害対策の記事が大方を占めている。

まず目につくのは、ペット用の「非常持ち出し袋」が売り出され、好評を博しているという記事だ。

2006年8月に、三越がインターネットで犬・猫用の防災セットを売り出した。ケージの代わりにもなる小型テント・簡易エサ入れなどの非常用リュックの重さは1.4キロ。もちろん人間が背負う。価格は1万4700円と人間用より高めだが、多頭飼いの頭数分購入する人もいて、売れ行きは好調だという。

防災週間直近のこの時期、各地のデパートなどでペット用防災グッズが人気を集めた。迷子札や包帯の他、犬の足をがれきから護るための靴なども人気だという。また、最も問い合わせが多いのが、避難時に犬を背負うためのリュックだそうだ。
これらの避難グッズは、5−6年前から置くようになり、年々売り上げは増えてきているという。

2007年2月には、愛媛県のNPO法人「えひめイヌ・ネコの会」が、ペット同伴の防災訓練を開催し、人間約200人、犬36頭が参加した。ケガなどで興奮したイヌを手当てする際にひたいのツボを軽く叩いてリラックスさせる方法を練習したり、人工呼吸のやり方の説明を受けたりした。

また、愛知県岡崎市は、「(仮称)動物総合センター」の建設を策定した。2008年春に完成の予定で、総事業費は約五億円。動物の診療、保護、飼い主の教育などが本来の目的だが、災害発生時には、最大で犬猫ともに200-300頭程度の保護が可能という。

これらは、単なるペットブームのためだけではなく、二度の大地震で明確になった問題が人々の意識に上ってきたことの表れのように思える。

現実に災害が起こったら?

実際、避難所へのペットの持ち込みを断られるケースが多く、そのためにペットを手放したり、自治体の施設に一時的に預けざるを得ないのが実情だ。2004年の中越地震では、ペット連れのため避難所が利用できず、やむなく車中やテントで生活した人もいたという。

また、避難所に持ち込まれた場合、常にも増して飼い主の管理責任が問われることになる。動物嫌いの人や、体質的に動物と同居できない人もいる。抜け毛や鳴き声、臭気、排泄などの問題もある。避難所内の他の人とのトラブルにつながることも考えられるため、十分な注意が必要となる。

静岡県地震防災センターでは、避難所でのペット対策マニュアルを作成し、避難所での飼い主の管理責任や、動物の救護について明示している。

そんな中、三重県獣医師会が中心になり、犬猫を対象とした災害発生時のガイドラインを設けた。飼い主が一緒に入って世話ができる動物の救護所や、用意すべき医療品、動物の救急体制の確立などが盛り込まれている。

獣医師会が強く推奨するのは、ペットへのマイクロチップの埋め込みだ。

災害発生時にペットとともにいるとは限らない。地震に驚いて逃げ出してしまったり、帰宅できないまま行方がわからなくなってしまうケースもある。また、再会できたとしても、やせ細り泥まみれになっていて、自分のペットかどうか分からないケースがあるという。鳴き声も変わってしまっている可能性もある。

そんなときに、あらかじめ体にマイクロチップを埋め込んでおけば、見つけ出せる可能性が高まるだけでなく、保健所に収容された場合でも殺処分される危険が減る。
費用は病院によっても異なるがだいたい5000円前後で、動物病院などで処置してもらえる。長さ1センチ、細さ数ミリのチップを、背中の皮下に注射針で埋め込む。痛みや違和感はほとんどなく、一生使用できるという。これがあれば、たとえ首輪が外れてしまっても大丈夫だ。

肝心の普及率は、三重県内で1%も満たない状況だという。いかに普及させていくかが今後の課題だ。

今のうちに、できること

1.プランをもつ

まずは、いざというときにペットを連れて逃げられるかどうかということから考えていこう。
家族に寝たきりの病人や乳幼児がいるような場合、もしかしたらペットは置いていかなければいけないかもしれない。大型犬を複数頭飼っている場合、すべて避難所に連れてはいくことは難しいし、車でも乗り切らないかもしれない。誰かに頼むことはできるのか、置いていく場合はエサと水を準備していく余裕はあるかなど、頭の中でシミュレーションしておくことは無駄ではない。
また、自分の住む自治体が避難所へのペットの持ち込みを許可しているかどうか、一時預かりは可能かどうかを調べておくと安心だ。

2.防災袋を準備する

まずは数日分の食糧・水、食器(ステンレス製など丈夫で軽いもの)。迷子札、医薬品、リード。トイレットペーパー、ペットシーツ、ビニール袋、新聞紙、猫ならキャリーバッグなどは避難所などで必要。防寒と、毛の飛散を防ぐため、服(なければ人間用のTシャツでも)があると良い。
はぐれたときのために、特徴が分かる写真を複数枚準備しておく。病気があれば、薬と、病状を書いた紙も同梱しておく。

3.獣医師と協力してできること

普段から予防接種を定期的に受ける。また、念のために接種証明書を準備しておく(ペットホテルや預かり施設などで必要な場合がある)。
不妊手術をしておく。ノミ・ダニを駆除しておく。これは通常の飼育でも必要。
マイクロチップの埋め込みをしておく。これは普段の健康診断などで体温を簡単に測ることができるというサブメリットもあるので、ぜひ検討してみては。次回検診や予防接種のときなどに、獣医さんにきいてみよう。

動物が苦手だという人もいる。非常時下のペット飼育は不適切と考える人もいる。一方で、苦しい避難生活を動物に支えられて過ごしたという人もいる。阪神・淡路大震災においては、動物と過ごすことが、仮設住宅での孤独死の予防に効果があったという指摘もある。

過去の災害の経験を元に、人対人、人対動物のより良い関係を築いていかなければならない。そのためには、動物を飼う人も飼わない人も、一人ひとりの思いやりや思考力、実行力が問われていると、今回震災にまつわる記事を読み返して実感した。

関連情報サイト
関連記事情報(for G-Searchデータベース)
2006.12.01 地方版/三重 23頁 写図有 (全584字)
2006.06.07 中部朝刊 26頁 社会面 (全256字)
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