
株式の新興市場といえば、ジャスダック、マザーズ、ヘラクレスあたりはよく聞くが、最近、アンビシャス、セントレックス、Qボードという名前も目にするようになってきた。新興市場だけに急増した印象があるが、いつ頃からあるのだろうか。
これらの設立やそれぞれの特長について、G-Searchの新聞・雑誌記事を横断検索を使って調べてみた。
新聞記事によると各新興市場の開設は次の通り。
- ジャスダック証券取引所 91年10月稼動 ※当時は「株式店頭市場システム」
- 名古屋証券取引所「セントレックス」1999年10月開設
- 東京証券取引所「マザーズ」1999年11月創設
- 札幌証券取引所「アンビシャス」 2000年4月開設
- 福岡証券取引所「Qボード」 2000年5月開設
- 大阪証券取引所 「ヘラクレス」2002年12月 ナスダック・ジャパン市場と大証新市場部を統合し、改称
ジャスダック以外は、東京、大阪、名古屋、札幌、福岡にある証券取引所の新興企業向け市場。セントレックス、アンビシャス、Qボードなども、意外に同じような時期に開設されている。それなのに、どうして違いが出てしまうのだろうか。各市場の上場企業数を調べてみた。
- ジャスダック(JASDAQ):967社
- マザーズ:164社
- ヘラクレス:145社
- セントレックス:21社
- アンビシャス:5社
- Qボード(Q-Borad)5社
やはり、かなりの社数が違う。さらに、証券関係の専門紙である株式新聞と証券新聞で、それぞれの市場名で検索したたヒット数を比べてみた。
- ジャスダック(JASDAQ):10298件
- マザーズ:4805件
- ヘラクレス:1790件
- セントレックス:278件
- アンビシャス:114件
- Qボード(Q-Borad)93件
なかなか見事に、上場している企業数によって、その市場名が新聞記事に出てくる頻度が比例している。最新の状況としては、2006年上半期(1-6月)のIPO(新規上場)は東証1、2部、大証、名証も含めて合計93社。新興市場の内訳はJASDAQ33社、ヘラクレス22社、マザーズ14社、名証セントレックス3社、札証アンビシャス2社、福証Qボード1社とあるという記事もあった。
新興市場、それぞれの違いは?
各市場の対象企業を調べてみると、次のような特徴があった。
- ジャスダック・・・ビジネスモデルに特徴のあるIT、ハイテク、バイオ、サービスなど幅広い様々なステージにある新興企業
- マザーズ・・・業種に関係なく、優れた技術やノウハウを持ち、成長の可能性が認められるすべての企業
- セントレックス・・・高い成長の可能性を有していると認められる企業(当該事業に係る売上高が計上されていること)
- アンビシャス・・・新ビジネスに挑戦する成長企業あるいは従来型の企業で経営上の工夫などにより、成長が期待される企業
- Qボード・・・新しい技術又はユニークな発想に基づき、若しくはその他の理由により今後の成長の可能性があると認められる企業
うーん。対象企業はどれも同じような感じだ。セントレックスとQボードはそれぞれの地域圏を営業に主体にしているといった基準もあるようだが、アンビシャスは北海道限定でもなく全国も対象にしている。ただし、上場基準にはそれぞれ違いがある。例えば、マザーズは「時価総額10億円以上、発行済み株式数1000単位以上」、Qボードは、「時価総額3億円以上、株式数500単位以上」など、地方のほうが基準が緩くなっている。対象企業の規模を変えることで差別化を図っていることが見受けられる。
ある記事ではJASDAQやマザーズヘラクレス以外にも名証セントレックス、福証Qボード、札証アンビシャスなど地方取引所への上場が増加傾向だあるといった地方の新興企業向け市場の健闘ぶりを伝えるものもあった。
そんなに爆発的に成長するの?
最近はIPOなどの新規上場が盛んになっており、個人投資家からもプロの投資家からも大いに関心が持たれて盛り上がっており、地方の新興市場にとっても追い風も吹いてきた。
ただし現時点では、ジャスダック、マザーズ、ヘラクレスと比べ差を付けられた事を否めない。それを挽回するために上場基準を緩くする。
自然な流れのようだが、最近の新規上場企業の中には、売上が数億円で、社員が数名の企業が新興市場に上場しているケースがある。こういった企業がなんらかの優位性があって今後爆発的な成長力を有しているのであれば、特に問題はないのだろうが、どうもそういった企業ばかりではなさそうだ。
本来は、東証の上場基準は満たせないベンチャー企業にも資金調達の道を開くための新興市場であるが、地方証券取引所のポジショニング、新興企業向け上場基準の緩和、上場すると一気に信用力が高まる日本の商環境が相まって、行き過ぎが生じているのではないだろうか。