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もうすぐ発表! 2006年本屋大賞
2006年3月31日 (text by ゆ)

大賞

4月5日、2006年「本屋大賞」が発表される。
「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本」というキャッチコピーが示すとおり、新刊書の店員が審査員となって選ぶ文学賞だ。

今回は、この本屋大賞について、新聞・雑誌記事横断検索で調べてみた。

本屋大賞とは?

出版不況という言葉が聞かれるようになってから久しい。
1997年以降、書籍の販売額は前年比マイナスの状態がずっと続いており、少なくはない数の書籍が毎日書店に現れては返品されているという。

そんな中、出版業界を店頭から盛り上げようと始まったのがこの「本屋大賞」である。
実際に商品とお客様を目にする書店員だからこそ感じる「あの作家の本は、もう少し押せば売れるのに」「今年お世話になった本にお礼を言いたい」といった思いを形にした賞でもある。

スタートは2003年9月。書店員、出版員15名が集まって作った”本屋大賞実行委員”が、インターネットで審査員と候補作を募集したのが始まりだ。こうして集まった書店員が審査員となり、2004年4月に第一回の”2004年本屋大賞”が発表された。

ちなみに、本屋大賞には「本屋大賞」と「発掘部門」の二部門が設けられている。

「本屋大賞」の対象となっているのは、発表される4月を起点として前々年の12月1日から前年11月30日までの1年間に刊行された日本人による文芸書、つまり小説。一次投票の審査員は1人3作品を選んで投票し、その上位10冊を全て読んだ審査員により2次投票が行われ、決定される。

「発掘部門」は、発表の前々年12月1日以前に刊行された(小説、マンガ等のジャンルを問わない)本から、審査員が1人1冊選ぶというもの。

なお、二次投票の候補作は1月後半に発表されるが(投票の締め切りは今回は2月末)、実際に本屋大賞が発表されるのは4月である。ちょっと間が空いているようにも感じられるが、これは、出版不況を反映して初版しか印刷されない作品が多いため、大賞候補作となった本を出版社に増刷してもらうための準備期間という意味があるという。

確かにせっかく店頭を盛り上げても、話題になっている本そのものがなければ意味がない。
本屋大賞のオフィシャルサイトを見てみると、候補作名が入ったポスターやPOPなどを配布している。

最初は15人で始まった本屋大賞実行員は2005年12月にNPO法人化し、それと前後して「LOVE書店!」なるフリーペーバーの発行も開始するなど、店頭を盛り上げたい・盛り上げて欲しいという本屋大賞実行委員の願いが伝わってくる。

ベストセラーの後押しに

では実際に、本屋大賞は受賞作の売れ行きや出版不況に影響を与えることができたのか。

ここで過去2回の本屋大賞受賞作をご紹介しよう。

第一回「2004年本屋大賞」を受賞したのは、小川洋子『博士の愛した数式』。
80分しか記憶のもたない老数学博士と、その世話をするために雇われた家政婦とその10歳の息子との心の交流と別れを静かに描いた物語である。
書籍は単行本で約45万部、文庫本で約115万部と、150万部を超えるベストセラーとなった。

第二回となった「2005年本屋大賞」は恩田陸『夜のピクニック』が受賞。
高校生活あるいは人生でただ一度、一晩かけて80キロをただ、ただ歩く「歩行祭」というイベントでのある賭けと、参加者である高校生たちの心の軌跡が丹念に描かれている。

こちらは現在、単行本のみだが約25万部が売れているという。

どちらも、もともと売れ行きがいいものではあったそうだが、本屋大賞受賞を追い風に、更に売り上げを伸ばしたという。

ちなみに、本屋大賞作品と映画は相性がいいのか、今年映画が公開された『博士の愛した数式』は興行収入10億円を超えるヒット作になっている。また、『夜のピクニック』も映画化が開始されており、今秋には公開の予定だ。

なお、書店以外での認知度を測るということで、新聞・雑誌記事横断検索でキーワードを「本屋大賞」として検索し、件数を確認してみた。
受賞作の映画化も話題となり、2004年84件、2005年108件、2006年36件(3月30日現在)と、着実に知名度を挙げてきているようだ。
狙いどおり、現場からの出版業界の盛り上げに一役かっていると言えるだろう。

今年のノミネート作品と予想

さて、最後に2006年本屋大賞の候補作をご紹介しておこう。
今年は10位タイが2作品あったということで、11作が候補に残っている。

 桂望実『県庁の星』(小学館)
 町田康『告白』(中央公論新社)
 奥田英朗『サウスバウンド』(角川書店)
 西加奈子『さくら』(小学館)
 伊坂幸太郎『死神の精度』(文藝春秋)
 重松清『その日のまえに』(文藝春秋)
 リリー・フランキー『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(扶桑社)
 島本理生『ナラタージュ』(角川書店)
 古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』(文藝春秋)
 伊坂幸太郎『魔王』(講談社)
 東野圭吾『容疑者Xの献身』(文藝春秋)

更に、蛇足且つ僭越ながら、タイトルと紹介文のみで立てた筆者の予想をひとつ。
(ちなみに筆者は『博士の愛した数式』も『夜のピクニック』も”本屋大賞受賞”の帯にひかれて購入し、読んだクチである。)

本命はリリー・フランキー『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』。
この作品、筆者の周りでやたらと評判が高い。ただ、既に100万部を売り上げている(大が付くほどの)ベストセラーということから、書店員が今”売りたい本”として挙げるかどうかが気になるところ。

対抗は重松清『その日のまえに』。大穴は古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』。
前者は過去の受賞作に通ずる、後者は過去の受賞作とは正反対の雰囲気をそれぞれ感じ取れる(繰り返すが筆者が予想のタネにしているのはタイトルと紹介文のみです)。
本屋大賞の賞としてのカラーが既に決まったのか、それとも100人規模で増えている審査員によって変わっていくのか。その辺りもひとつの見所ではないだろうか。

本屋大賞の発表は4月5日。
書店にはおそらく当日から、本屋大賞受賞の帯を付けた本が並ぶだろう。
全国の書店員が実際に読んでいちばんすすめたい本、見かけたら是非、手にとって見てみて欲しい。

関連情報サイト
  • 本屋大賞 − 本屋大賞のオフィシャルサイト
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