sideBトップ バックナンバー 入会案内 G-Search
トップ > G-Search "side B" > 特定外来生物被害防止法でカミツキガメが増える?
被害のニュースをよく見かけます
特定外来生物被害防止法でカミツキガメが増える?
2005年4月28日 (text by や)

噛み付きガメ

05年6月より特定外来生物被害防止法(外来生物法)が施行される。外来生物法は、生態系や人体に悪影響を及ぼすかもしれない外来生物について、日本への持込やこれ以上の拡散を防ぐ為に作られた法律で、「むやみに日本に入れない」、「飼っている外来生物を野外に捨てない」、「野外にすでにいる外来生物は他地域に広げない」を三つの原則としている。

外来生物としては、ブラックバスの一種の「オオクチバス」や、しばしば野生化し繁殖した姿がニュースでみられる「カミツキガメ」など37種が現在(05年4月)指定されている。

ところが、外来生物法の施行により、特定外来生物に指定したカミツキガメが、かえって増加するのでは?という危惧がされている。この不思議な状況について「新聞・雑誌記事データベース」を利用して調べてみた。

外来生物法でカミツキガメが増える?

記事検索でキーワードを「外来生物 AND カミツキガメ」とすると外来生物法に関する記事が多くヒットする。それらの見出しを見ると「捨てられて」や「引き取り」といったペットの所有に関してマイナスイメージとなる言葉が多く見られる。

そうした記事本文を見ると、外来生物法の施行が近づくにつれ、ペット店などに「引き取って欲しい」といった電話が多く寄せられており、NPO法人「ワニガメ生態研究所」には全国から毎日のように問合せの電話が入っているという。

何故こうした状況になったか記事を読み進めると、外来生物法による厳しい飼育規定と罰則がその根底にあるようだ。

外来生物法の施行により、特定外来生物と指定された生き物の飼い主に対し、次のような義務とそれを違反した際の罰則が規定されるのだ。

※禁止内容/義務事項

  • 指定種の飼育、栽培、保管、輸入、譲渡、販売、野外への放出が原則禁止。
  • 学術研究や教育、展示目的の飼育も国の許可が必要。
  • 法施行前に飼っていたペットも規制対象となり、特別な許可を得たうえで、名札やマイクロチップによる固体管理ができるようにしなくてはならない。

※罰則

  • 違反者へは個人の場合、懲役3年以下/罰金300万円以下の罰則。
  • 法人の場合だと、なんと最高1億円の罰金が科せられる。

このように、法律が施行されると特定外来種を飼い続ける為には、面倒な登録や固体管理が必要となるのだ。またこれらを手放そうとした場合、販売、譲渡、放出が禁止されている他、原則行政の引取りは行われていない為、飼い主の手で殺処分しなくてはならない。

上で紹介したワニガメ生態研究所では、特定外来種飼育の相談について、許可を取って飼育するよう飼い主を説得してると言うが、「殺されたり、捨てられるよりは」と何匹か引き取らざるを得なかったという。

こうした背景から、飼い続けることも処分する事も出来なくなった飼い主が、法律施行前の駆け込み需要的にペットを放棄するのではないか?と危惧されているようだ。

動物愛護管理法による違法放棄

実際カミツキガメの違法放棄については、以前から問題が起きている。

環境省は99年に動物愛護管理法を改正し、カミツキガメなどを危険動物に指定したのだが、これを受けて多くの都道府県が条例で、カミツキガメの飼育を許可制にするなどの措置をとった。

すると、その後、全国各地でカミツキガメの目撃情報が寄せらるようになり、特に印旛沼(千葉県)ではカミツキガメが大量に放棄され繁殖する事態にまで至ったのだ。

今回の外来生物法においても同様の問題が内包されており、こうした違法放棄に関して不安が残るが具体的な対策は検討されておらず、飼い主のモラルに訴えるしかない状況のようだ。

特定外来生物被害防止法の施行まであと僅か、これを機会にペットの飼育に関する飼い主のモラルを見直す事が必要なのかもしれない。

関連情報サイト
関連記事情報(for G-Searchデータベース)
2005.01.31 東京夕刊 5頁 国際 (全941字)
※関連記事を見るためにはG-Searchの会員登録が必要です。
※関連記事の本文表示は有料となります、ご注意ください。