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旬の話題
2004年6月24日更新

「ベル友」は今。NTTドコモ、ポケベル事業から撤退

5月17日、ポケベルの販売大手であるNTTドコモが新規のポケベル加入受付を終了すると発表した。ポケベルの存在を思い出すきっかけがドコモによる提供終了のニュース。そんな人も多かったと思う。それでは終了も止むを得ない流れだろう。

ドコモによるポケベル契約数は46万件と国内最大手。ドコモでは、今回の提供終了に伴いポケベルが持つ「クイックキャスト機能(※1)」を第3世代携帯のFOMAを使ったサービスに置き換えることを検討しているが、国内最大手のポケベル事業者撤退によりポケベル自体の存続が危ぶまれている。

※1 : クイックキャスト機能
同一周波数を複数の端末で受信できるラジオのような機能。災害時の連絡など、一度に多数の端末と連絡を取るときなどに便利。

若者を中心に一世風靡したポケベルがここまで需要を減らした原因には、PHSの普及による若者の利用離れがあるとされている。

そこで、新聞・雑誌記事横断検索を利用して過去のポケベル関連の記事を調べると、PHS普及とは別に、ポケベル事業の立ち直りを困難とさせる要因が見えてきた。


●ポケベル衰退の原因を調べる

ポケベル AND (廃止 OR 停止 OR 撤退)」とキーワードを設定し新聞・雑誌記事横断検索で新聞記事を検索すると、99年の東京テレメッセージの倒産を境に、各地方に展開するポケベル業者が次々と撤退してゆく様が伺える。
その勢いはすさまじく、まさに雪崩れをうって倒れるといった様だ。

例えば、上の検索でヒットした新聞記事の内、東京テレメッセージ、ドコモ関西、関西テレメッセージ、九州テレメッセージが相次いで業務撤退発表した1999年の10月頃の記事見出しを一覧表示すると、2、3日に1社の頻度で地方のポケベル業者の撤退を告げる記事見出しが見つかる。

それらの記事を読むと、やはりPHSによる利用者減少が撤退原因とされている。

確かにこの時期のポケベル利用は若者を中心とした個人利用者であり、その若者は「ベル友」と呼ばれる現在の「メル友」の先駆け(?)ともいえるコミュニケーション手段に利用していた。
そんな若者達が、通話も出来てメールもできるPHS利用へ流れるのは必然だ。

しかし、関西テレメッセージが事業廃止しドコモ関西へ引継ぎした際も、結局5万5千件の利用者が残り、業務利用や災害時の緊急連絡利用用途としてのポケベル需要が認められていた。

そうした状況で、ここまで急な事業撤退が行われるのは不思議だ。

そこでさらに記事を見てゆくと「過剰設備投資の回収がゆかず赤字が膨らんだ」という内容の記事を見つける事ができた。


●利用者急増から一転して急落

ポケベル事業者が事業展開を困難にするまでの過剰な設備投資をした背景には、先に挙げた「ベル友ブーム」による急激なポケベル利用者数の増加がある。

ベル友とは単純に言うとメル友のポケベル版。メール程機能の充実していないポケベルの通信機能を用いて数字や限られた言葉を使い、巧みにコミュニケーションを取った。

この利用が急激に拡大。各地域の回線はパンク状態となり、メッセージを送ろうにも遅れない状況が頻繁に発生するまでとなったのだ。

その急激な広まりにより新規加入登録を停止する業者もあった程で、この時期のポケベル熱の高さが伺える。

こうした回線パンクを打開する為、事業者は一斉に設備投資を行った。しかし、まさにそのタイミングでPHSの廉価提供が実現してしまい、いままでポケベルで連絡を取り合っていた若者は一斉にそちらへ流れた。

結局、加入者急増時につぎ込んだ設備投資が効果をあらわす前に、設備投資をする要因となったはずの若者が一斉にいなくなり、ニーズ以上の設備と回収の見込みの無くなった投資による負債が残ったポケベル事業は廃止へと向かっていったのだ。

こうした意味ではポケベルを一気に撤退の方向に向かわせたのは、築き上げたベル友文化をあっさりと捨て去る若者特有の柔軟さと、その動向を読みきれなかった見通しの甘さだったのかもしれない。

※次回更新日は、7月1日(木)の予定です。バックナンバーを見る トップにもどる
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大昔はこんな感じだったと思われます。


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毎日新聞記事情報 1996.05.24 大阪夕刊 13頁 社会 (全894字)

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ポケベル発信者課金契約の新規受け付け中止へ 加入者、ピークの1割−−NTTドコモ
毎日新聞記事情報 2002.10.29 大阪朝刊 8頁 経済 写図有 (全722字)


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